一人当たりの売上93%アップ、離職率19%ダウンを実現
こんにちは。GA technologiesで執行役員を務める、農里と申します。
GA technologiesは、2023年7月末、第3四半期としては過去最高の売上を達成しました。その背景には、新卒入社者でも早ければ入社3ヵ月めにはインサイドセールスとして独り立ちできる「セールス・イネーブルメント」の存在があります。
セールス・イネーブルメントの仕組みが整った2022年度は、2021年度に比べてセールス一人当たりの売上が前年度比93%アップ、離職率は19%ダウンしています。
本連載では、その仕組みを整えた当事者として実感した、「セールス・イネーブルメント立ち上げにおける重要なポイント」をご紹介します。
今こそ「人材育成」が必要だ
前提として「人材育成」は、セールスに限らず今すべての企業で求められているテーマです。
人的資本経営という言葉を知っている人も多いでしょう。人的資本経営とは、経済産業省いわく「人材を“資本”として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方(※1)」です。つまり、従業員は「資本」であり、人材育成にかける時間やお金はコストでなく「投資」という考え方です。上場企業では、2023年3月期から人的資本に関する情報開示が求められており、人材育成に注力することが企業価値の向上につながる時代だと言えるでしょう。
さらに、転職が一般的になったことも大きな変化です。2023年には転職希望者が1,000万人に迫ると言われる(※2)ほど、転職は働く人にとって身近な選択肢になりました。企業としても、転職者がすぐに活躍できる土壌があれば、採用活動はより容易になります。逆に言えば、中途入社者の立ち上がりスピードが企業の競争力に直結します。
※1 出典:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
※2 出典:総務省「労働力調査」
このように育成はすべての職種に必要ですが、中でも急速に変化する消費者ニーズに対応することを考えると、セールスの育成が必要不可欠です。とくにここ数年は、新型コロナのパンデミックや記録的な円安といった外部環境の変化もあり、従来の売り方が通用しなくなってきています。
企業の存続は、「どんな状況でも成果を出せるセールスを育成できるかどうか」にかかっているといっても過言ではないでしょう。
セールス・イネーブルメントを内製で行うメリット
「セールスの育成」というと、外部研修に参加させたり、コンサルティング会社に依頼したりする企業も多いかと思いますが、我々はセールス・イネーブルメントを内製で行っています。
内製のメリットは、自社の商品や顧客の特徴、競合他社と比べた際の強み・弱み、活用できる社内リソースを知り尽くしたメンバーが育成に携われることです。
弊社では、営業戦略部門の中に「セールスイネーブルメント」と呼ばれるチームと、並列で「セールスアクセラレート」というチームを置いています。
「セールスイネーブルメント」はフィールドセールスの育成を担っており、基本的には中途入社者が現場で成果を出せるようサポートします。一方、「セールスアクセラレート」はインサイドセールスの育成が目的です。毎年入社する新卒社員を育成し、インサイドセールスとして安定した成果を出せるようになると、「セールスイネーブルメント」がフィールドセールスを教えるという流れです。
セールス・イネーブルメントが目指すのは「セールスを科学する」こと。すなわち、自社でセールスとして活躍するための再現可能なスキルを特定して型化し、浸透させることです。
私は、「自社のセールスプロセスを理解し必要なスキルを身につければ、取り扱う商品が多少変わってもセールスとして成果を出せる」と確信しています。弊社で扱う商品は幅広く、案件によっては数千万円の金額差があります。金額が変われば顧客層や提案ポイントなども大きく変わりますが、セールス・イネーブルメント導入後はどのような商品でも扱えるメンバーが育っています。
とはいえ、社内でセールス育成の仕組みをつくり上げるのは一朝一夕にはいきません。ここで、私が社内で取り組んだセールス育成の道のりと現在地をかんたんにご紹介します。