ウェブ広告に挑戦するも予算超過で成果が出ず……
――2011年、新卒でgroovesに入社されてどのような営業を経験されたのでしょう。
当時のgroovesは、IT企業への変革がスタートしていたものの、正社員はまだ10名で「人材業界のTHE 営業会社」でした。毎日100件テレアポしてお客様を訪問する、量を足で稼ぐ泥臭い営業としてキャリアをスタートしました。苦しさもありましたが、少数精鋭の中でチャンスを得られることも多く、会社の成長に貢献しようと楽しんで仕事をしていました。もともとインターネットが大好きだったのですが、2011年はFacebookが日本に上陸したタイミングでもあり、ウェブサービスで世界が変わっていくワクワク感の中にありました。スタートアップやメガベンチャ―の顧客をどんどん開拓し、IT業界の知識を蓄えていったんです。
変革の中で社内にエンジニアが少しずつ増えていたのですが、ウェブサービスをつくる人への尊敬の念もあり、積極的にエンジニアの中に混ざり、時にはプログラムの書き方を教えてもらうこともありました。2013年ごろには、Rubyで「Yahoo!ファイナンス」をクローリングして営業リストをつくるプログラムを完成させています。
――営業とエンジニアの間を行き来していた赤川さんが、2015年に任されたのがウェブマーケティング組織の立ち上げだったとうかがっています。
エンジニア採用サービスの「Forkwell」を伸ばすためにウェブマーケティングに取り組むという決定がありました。別の事業部に属していたのですが、Forkwellを積極的に提案していた実績もあり、「Forkwellのことが好きで、エンジニアとも仲が良いし、インターネットにも詳しそうだから赤川に任せると芽が出るかも」と、まずはウェブ広告の業務を一任されることになりました。
ミッションは、転職を考えているITエンジニアをサービスに集客することです。まず、一度も広告予算を投下したことがない会社としてはかなりの額を3ヵ月分用意してもらいました。社長の池見からは、「失敗しても良いから、予算を使い切って成果を出すこと」「細かい報告はするかどうかも含めて任せる」と言ってもらいましたが、営業活動でこの予算を稼ぐことがどれだけ難しいかもわかりますから、もうハラハラして(笑)。
とはいえ、自分なりに工夫してチャレンジしたのですが、1ヵ月経っても、2ヵ月経っても、3ヵ月経っても、チューニングしても、成果は伸びず……。そのうえ、オペレーションミスで預かった広告予算を使いすぎてしまったんです。結果的に叱られることはなかったのですが、7ヵ月でマーケティング活動は一度ストップとなりました。
しかし、得られたこともあります。広告やプロダクトの実績数字を分析すると、広告からの登録数が増加しても、その後サービス上での歩留まりが良くないことがわかりました。「プロダクトを磨かずに広告費を投下するのは、バケツに穴が開いている状態であり、プロダクト改修に力を入れたい」と逆に提案させてもらったんです。組織改変のタイミングだったことも後押しして、「ではプロダクトマネージャーとなり、エンジニアとデザイナーをまとめて成果を出すように」と新たなチャレンジの場をもらいました。これが大きな転機でした。