初オンライン開催のINBOUND 顧客に合わせた新たな体験を
初めてのオンライン開催となったHubSpot社の年次イベント「INBOUND」。「HubSpot Spotlight New normalの中で成長を遂げるには」というキーノートで幕を開けた。
多くの変化を誰しもが経験した2020年だった――それでも、今から積極的に備えている企業には明るい未来が待っているのではないだろうか。同社最高経営責任者(CEO)兼共同創業者ブライアン・ハリガン氏は「営業活動は外勤頼み、マーケティングはオフラインが中心というマンパワー頼みの企業も、コンピューターに任せる部分を増やし、もっと効率化していく必要がある」と語った。続けて、自社の取り組みと、今後の企業の分かれ目について次のように述べた。
「HubSpotは、全社会議に毎回お客様の代表者の方に同席していただいています。このような当社の顧客中心主義はますます加速しています。企業はこれからふたつのタイプに分かれていくでしょう。現在の変化に積極的に適応し、オンラインマーケティングやインサイドセールスを積極的に取り入れる企業と、2019年以前の状況に戻ろうとする企業です」(ハリガン氏)
最高技術責任者(CTO)兼共同創業者 ダーメッシュ・シャア氏は「顧客は対面のミーティングには参加していないでしょうし、営業担当者が接待してくれると言っても断るでしょう。だれかの営業プロセスに乗せられるなんてまっぴらだと顧客は思っているのではないでしょうか。新しい日常で成功を勝ち取るために必要なのは、顧客の新たな日常に合わせた購買体験を提供することです」と今後の企業に必要な方向性を示した。
実際にHubSpotも、現在の顧客に合わせた改善に取り組んだ。「Marketing Hub」の料金体系の変革だ。これまでは「Marketing Hub」に蓄積されたデータベース内のコンタクト数(顧客情報)に応じて課金がなされてきたが、「HubSpot CRM」と「Marketing Hub」両方を利用する顧客にとって不都合な部分が発見された。「接点のある顧客すべてをHubSpot CRMに登録したいが、必ずしも全員がマーケティング対象ではない」という顧客が大勢いて、ユーザーは無駄な課金を防ぐためにそれぞれのHubにそれぞれ必要な顧客情報を登録していたのだ。
そこでHubSpotは、10月から「HubSpot CRM」と「Marketing Hub」両方に登録されているデータのうち「マーケティング対象の顧客データ」分だけに支払いが発生するようにした。HubSpot CRMへのコンタクト登録自体は100万件まで無制限に利用できる。
Sales Hubに大幅な機能拡張 売上予測機能も新たに
続けて、最高製品責任者 クリストファー・オドネル氏は、同社が営業支援のCRMとしての進化を目指すプラットフォーム「Sales Hub Enterprise」の機能拡張についても発表した。
ひとつは「カスタムオブジェクト」の追加だ。これによりユーザーは自社ならではの指標、たとえば「SaaSを提供企業における顧客のサブスクリプション情報」「物品販売企業における顧客への出荷情報」などを加えられるようになる。これまでよりもリッチな顧客情報の管理が可能になるのだ。
さらに営業リーダーやセールスオペレーション部門が求める機能だけでなく、現場の営業担当者が求める使いやすさも追求したとオドネル氏は続ける。たとえば、営業担当者の成約率向上と短期間での成約獲得を支援するため、Sales Hub Enterpriseでは見積もり作成(CPQ)機能が強化された。会計ソフトウェア「QuickBooks」やクラウドERPソリューション「Netsuite」とのネイティブ連携、「Xero」および「NuBox」といったグローバル会計パートナーとの新たなサードパーティー連携も実現する。
また、新しくなった売上予測機能では、チーム全体の成績を全体的に見渡し手動で調整を加えることが可能になる。営業担当者の個人用ビューもあるため、マネージャーはコーチングや1on1にも活用することができる。
「多くの機能を備えた営業支援CRMを試しては、裏切られ、ますますCRMが嫌いになっていく。長い間そんなことを繰り返してきた企業も多いのではないでしょうか。スムーズな使い心地、各種ツールが一元化された環境、ユーザー指向のプロセス、営業チームの能力を最大化する機能を通して、皆さんの効率性の向上、ひいては売上の拡大を支援します。カスタムオブジェクトをはじめとする豊富な機能を搭載した、新しいSales Hub Enterpriseも本日からご利用いただけます」(オドネル氏)