ユニクロに近づけるか!? ワークマンの経営数値と売上高
工事現場や工場で働く男性向けの作業服や履物、作業用品などを販売する店舗として、圧倒的な存在感を確立してきたのがワークマンである。ある意味、プロ客向け店舗といっていいだろう。会社設立は1982年。社名の由来は容易に想像がつく。
そのワークマンがここにきて大きな注目を浴びている。Sサイズやアウトドアウェアなど一般・女性向けの商品や店舗を開発し、人気を集めているからだ。
承知のように、衣料品販売では「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが抜きん出た存在である。同社はカジュアル衣料販売で、インディテックス(スペイン)やH&M(スウェーデン)と世界3強を形成しているほどだ。
ワークマンは、そんなユニクロに一歩でも近づくことができるのか。一般・女性客を増やすための新たな商品開発や店舗展開を確認する前に、ワークマンのビジネスを探ってみる。
まずは、表「ワークマンの概要」における「1店舗1日平均売上高」を見てみよう。全店ベースでは、17年3月期25.5万円、18年3月期26.6万円、19年3月期30.4万円という推移である。
ワークマンの概要
17年3月期 | 18年3月期 | 19年3月期 | |
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【1店舗1日平均売上高】 | |||
全店ベース | 25.5万円(797店) | 26.6万円(821店) | 30.4万円(837店) |
うちFC店舗 | 27.5万円(660店) | 28.1万円(692店) | 31.1万円(734店) |
うち直営店 | 15.9万円(137店) | 18.2万円(129店) | 25.5万円(103店) |
1店舗新設平均投資額 | 4,950万円 | 5,570万円 | 6,450万円 |
【会社としての売上内訳】 | |||
加盟店からの収入 | 102億円 | 113億円 | 138億円 |
加盟店向け商品販売 | 307億円 | 330億円 | 401億円 |
直営店売上高 | 79.5億円 | 86.0億円 | 95.9億円 |
その他収入 | 31.4億円 | 30.7億円 | 33.4億円 |
【主要な経営数値】 | |||
売上高 | 520億円 | 560億円 | 669億円 |
営業利益率 | 18.3% | 18.9% | 20.2% |
当期純利益 | 71.4億円 | 78.4億円 | 98.0億円 |
営業活動CF | 69.8億円 | 98.5億円 | 96.5億円 |
投資活動CF | △111億円 | △44.6億円 | △56.6億円 |
(△は出金超過を示す) |
国内ユニクロの1店舗1日平均売上高はおよそ270万円(19年8月期)。ワークマンの各店舗は販売を右肩上がりで伸ばしているが、ユニクロ店舗とは大きな差があるのが現実。
1店舗をオープンするための投資額にしても、ユニクロは1億円を軽く超しているが、ワークマンの場合は5,000万円~6,000万円といったところだ。
販売額の推移以上に注目したいのは、ワークマンの店舗形態である。大部分はフランチャイズ(FC)店舗。この3年間のFC店舗比率は「83%→84%→88%」と上昇している。1店舗1日平均売上高にしても、FC店舗は直営店舗を10万円以上も上回る。そもそも、ワークマンはFC比率を重視。直営店舗は、FC契約者や社員を対象とした実務研修・トレーニング用の店舗である。つまり、ワークマンはFCビジネスに磨きをかけることで、稼ぐ力を高めてきたわけだ。