パーソル総合研究所は、副業に関する調査結果(企業編)を発表した。同調査は、副業に関する企業・個人の実態を定量的なデータで把握するとともに、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施。同調査結果は「企業編」「個人偏」に分けてまとめており、ここでは「企業編」となる。なお、副業に関する調査は2018年の実施に続き、2回目となる。
同調査結果の概要は、次のとおり。
自社の正社員が行う副業の容認
自社の正社員が副業を行うことを容認している企業の割合(全面容認と条件付き容認の合計)は55%。2018年の1回目の調査では同51.2%であり、3.8ポイント上昇している。
自社の正社員の副業を企業が容認する理由・禁止する理由
自社の正社員の副業を企業が容認する理由の1位は「従業員の収入補填」で34.3%。2位は「禁止するべきものではない」で26.9%となり、正社員の副業が一定程度一般的なものとして認識されつつある様子がうかがえる。禁止する理由の1位は「自社の業務に専念してもらいたいから」で49.7%となった。
副業者を受け入れる企業の割合
副業者(他社で雇用されている人材)を現在受け入れている企業は23.9%。現在受け入れていないが、受け入れる意向がある企業も23.9%。合計すると47.8%になり、半数近くの企業が副業者の受け入れに前向きな姿勢を示している。※副業者の雇用形態(業務委託契約、正社員、契約社員、アルバイト・パートなど)は問わない。
副業者を受け入れる企業の割合(属性別)
企業規模別にみると、従業員100人未満の中小企業と、1万人以上の大手企業で副業者(他社で働いている人材)を受け入れるようとする傾向が強い。また、設立年数が浅いほど副業者を受け入れるようとする傾向がみられる。
副業者を受け入れる理由
副業者(他社で雇用されている人材)を受け入れる理由をみると1位は「多様な人材確保が可能だから」で26.4%。しかし、企業規模別にみると、1万人以上の大手企業では多様な人材確保を理由とする割合は下がり、「新規事業の立ち上げ/推進」「新たな知識・経営資源の獲得」「オープンイノベーションの促進」など、新規事業・イノベーション関連の理由が目立つ。
副業者の採用経路
副業者(他社で雇用されている人材)を受け入れる理由をみると「知人・社員からの紹介」がもっとも多く39.9%となった。次に多いのは「元社員」で22.3%。スキルの把握や信頼性の面などから、すでに知っている人材を活用しようという志向性が反映されていると推察される。
副業者の職種
すでに受け入れている、または受け入れを検討している副業者の職種でもっとも多かったのは「営業」で 19.6%だった。次いで「ITエンジニア」の 15.6%、「情報システム関連」の 13.7%が続き、IT 関連職種が上位に挙がっている。
副業者受け入れの課題・問題
副業者受け入れの課題・問題について聞いたところ、もっとも多かったのは「労務管理が煩雑」で12%だった。次いでノウハウなどの流出、情報漏洩が続く。
調査概要
調査内容
- 副業に関する企業、個人の実態や意識を明らかにする
- 副業による本業へのプラスの還元を高める要因、過重労働リスクを高める要因などを明らかにする
- 企業の副業者(他社で雇用されている人材)の受け入れの実態、受け入れ意向を明らかにする
調査方法
調査モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期
2021年3月4日~2021年3月8日
調査対象者(企業調査)
- 勤務先従業員人数10人以上、年齢70歳未満の男女
- 経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用など)について把握している者 n=1,500