企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援するリクルートマネジメントソリューションズは、企業の人事担当と管理職(ミドルマネジメント)300名に対し、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2021」を実施。「管理職に期待していること」「日々の管理職業務で困っていること」など、調査結果から見える実態について公表した。
会社の組織課題は「次世代リーダーの育成」と「ミドルマネジメントの負担軽減」
人事担当者と管理職に会社の組織課題についてたずねたところ、双方とも選択率1位は「次世代の経営を担う人材が育っていない(人事担当者72.0%、管理職68.0%)」、2位は「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている(人事担当者71.3%、管理職64.0%)」だった。
管理職に求められることは「メンバーの育成」と「業務改革」
人事担当者に「管理職に期待していること」をたずねたところ、もっとも選ばれた項目は、「メンバーの育成」(47.3%)。次いで、「業務改善」(34.0%)、「担当部署の目標達成/業務完遂」(30.0%)が続いた。
また、管理職層に「管理職として重要な役割」をたずねたところ、「メンバーの育成」(47.3%)、「業務改善」(34.0%)、「会社・事業の戦略テーマ(重点テーマ)の推進」(33.3%)が選ばれた。
人事担当者、管理職層とも管理職の役割として「メンバーの育成」をもっとも重要な役割と捉えているという結果は、2020年に行った調査結果とも共通している。また、人事担当者、管理職ともに次いで選ばれたの「業務改善」については、2020年に人事担当者が重要視していたものと違った結果に(2020年に人事担当者が2番目に重要視していたのは「担当部署の目標達成/業務完遂」)。変化の激しい1年のなかで、これまでとは違う対応やマネジメントスタイルがより求められていると推測される。
管理業務で困っていること「メンバーの育成」「業務改革」「新価値・イノベーションの創造」
管理職層に日々の管理職業務で「困っていること」をたずねたところ、「メンバーの育成」(48.7%)、「業務改善」(45.3%)、「新価値・イノベーションの創造」(42.7%)が選ばれた。
「メンバーの育成」や「業務改善」は、管理職が考える重要な役割でも上位に。一方「新価値・イノベーションの創造」は、重要な役割としては選択率5位だったが、困っていることとしては3位に挙げられていた。
「新価値・イノベーションの創造」は、ニューノーマル時代におけるビジネスモデルの転換など一気にその必要性が増したことにより、管理職層にとっても目前の課題として差し迫ってきているものと予想される。
また、「重要な役割」においては、管理職層と人事の選択率の差がもっとも大きい項目となった。第一線にいる管理職は変化の必要性を強く感じているが、会社・人事のサポートが遅れている可能性も考えられるという。
実行型組織から学習型組織への転換が徐々に進みつつある
次に、管理職層が担当している組織について調べた。Aの選択肢で表される組織像は、方針や仕事の進め方は固定的で、決定した目標を効率的に実行していくことが業績達成へとつながるような、以前から多かった「実行型」のマネジメントが有効な組織。
一方、Bの選択肢で表されるような組織は、先が読みづらく変化のスピードが速い環境下にあり、その変化に合わせて個人や組織が学習しながら自律して判断をしていく「学習型」のマネジメントが有効な組織である。
結果を見ると、1~8までの設問においてはAの選択率のほうが高いものの、Bの選択率も40%台に達している。9、10の設問についてはBの選択率のほうが高い結果となった。従来多かった実行型の組織から、学習型組織への転換が進みつつあることが想定される。
また、Bの選択率が高かった9、10の設問は、自律的な判断や仕事への意味づけの必要性の項目。管理職から部下への関わりにおいては、より自律を促す働きかけが求められるようになると考えられる。
メンバーの自律性を高めて新価値創造へつなげる
「会社は社員にキャリア自律を求めている」の選択率(「そう思う」「ややそう思う」合計)が、77.4%、「社員のキャリア自律を進めるべきだ」の選択率が84.0%だった。