VRコンテンツ・アトラクションの製作を手掛けるハシラスはVRプレゼンテーションツール「キネトスケイプ」を発表した。臨場感のあるVRプレゼンテーションを容易に作成・実行できるOculus Quest専用のアプリケーションとなる。
同社では、ビジネスにおけるプレゼンテーションの目的は、相手に自社の事業やプロダクトを理解してもらい、何らかの意思決定を促すこと、そして、理解にもっとも効果的なのは体験とそれにともなう感動であるとしている。しかし、まだ存在しない・持ち運べないプロダクト、遠く離れた場所、建築物といった事業に関わる体験を会議室でプレゼンテーションすることは、従来は不可能だった。
VRプレゼンテーションでは、そうしたスライド資料や口頭説明だけではなし得ない体験に根ざした理解を促すことができるという。キネトスケイプは、臨場感あふれる体験を、VRを用いて作り出し、真の理解と感動を促すためのプレゼンテーションを可能とすることを目指したアプリケーション。VR空間で行うプレゼンテーションを作成・実施できる。いわゆる「プレゼン」として想起するようなスライド資料はもちろん、VRならではのメディアも体験できる。
たとえば、VR空間に3Dモデルを持ち込むことが可能。小さいプロダクトであれば、実際に手にとってあらゆる方向からデザインを確認したり、家具であれば、実際の部屋に設置した際のサイズ感を確認したりすることができる。あるいは自動車であれば、ドアを開けてインテリアを眺めたり、ボンネットを開けてエンジンを確認したりと、実車同様の体験が可能となっている。
360度動画や両眼立体視の映像再生にも対応。まるで現実の風景に入り込んだかのような体験が、VR内に入ったまま、平面資料や3Dモデルなどと地続きのシームレスなものとして実現する。
プレゼンテーションの舞台となるVR空間自体も切り替え可能。大学の講堂やクルマが行き交う駅前、静かな森の中といった現実を模したシーンはもちろん、建築予定の建物や未来都市など、現実にはない空間もVRの中で体験可能。空間そのものがプレゼンテーションとなりえるという。
同アプリケーションでは、同じ場所にいる複数人が、現実空間と同期したVR空間に同時に参加してプレゼンテーションを体験できる。ほかの人とともに空間を動き回ったり、プレゼンテーションの内容について話したりと、体験を共有することができる。
対応するVRヘッドセット「Oculus Quest」はFacebook社によるスタンドアローンタイプのデバイスで、ケーブルがなく、空間内を自由に動くことを可能に。同アプリケーションはOculus Questの最新機能であるハンドトラッキングにも対応し、手指のジェスチャーだけで操作が可能なため、コントローラーを手に持つ必要がない。これにより、他の人に手を振ったりといったボディランゲージによるコミュニケーションも促進されると考えられる。
また、オフライン動作にも対応している。仮にプレゼンテーション中にネットワーク接続が切れても、ほかのユーザーとのインタラクションは失われるものの、各ユーザーはVR空間への参加を維持したまま、自身の操作でプレゼンテーションを継続することができる。展示会などのネットワーク環境が不安定な場所などでも、安心して利用可能。
VRヘッドセットごと相手に送付し、リモートで体験してもらうこともできる。ウェブミーティングソリューションと併用することで、リッチなVRプレゼンを遠隔からナビゲートできるとのこと。