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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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営業改革事例

創業以来赤字の事業を3ヵ月で黒字化、売上は3年で4倍に エンジニア中心企業の営業改革とは

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 2017年12月にM&Aを経て、エイチームの一員となったIncrements株式会社。国内最大級のエンジニア向けの技術情報共有サイト「Qiita」などを展開している同社だが、創業以来赤字が続き、資金ショートの可能性を抱えていたという。M&A直前の2017年6月に、唯一の営業担当者として入社した榎本さんに3年間の営業改革について聞いた。

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創業以来赤字のサービス、黒字化猶予はあと1年

――展開されているサービスについてあらためて教えてください。

「Qiita」は無料で利用できる、エンジニアリングに関する知識を記録・共有するためのオープンな情報共有コミュニティです。エンジニアの方々がコードを書くうえで困ったときに活用いただける、たくさんのノウハウ記事が掲載されています。特徴的なのは、完全にCGM(Consumer Generated Media:掲示板やクチコミサイトなど、一般ユーザーが参加してコンテンツができていくメディア)のサービスだということ。記事を書いているのも、エンドユーザーであるエンジニアさんなのです。

マネタイズですが、広告とエンタープライズ版Qiitaである「Qiita Team」という情報共有ツール、最近始めたエンジニア採用サービス「Qiita Jobs」の3つを軸に行っています。

 
Increments株式会社 事業開発グループ マネージャー 榎本和明さん

――榎本さんがジョインした経緯についても教えていただけますか。

新卒でSaaS製品の営業となり、その後アリババのメディア営業やGoogleの代理店営業などを経験してきました。Incrementsに応募したのは、もともと自分でウェブサイトの制作をする際によく参照していた「Qiita」や、SaaS製品である「Qiita Team」のカスタマーサクセス職に関心があったからです。ただ、Incrementsは創業以来赤字が続いており、私が入社したときは、「このままだと1年以内に資金ショートしてしまう」という状況で、黒字化させるか、資金調達するかを迫られていました。そこで社長とも話し合い、営業経験のある私がビジネスを黒字化させるというミッションで働き始めたのです。

――どんな課題があったのでしょうか。

「ヒト・モノ・カネ」の「ヒト・カネ」がほとんどない状態でした。営業経験者もおらず、社長をはじめとして従業員の多くが、Incrementsでしか働いたことのない若いエンジニアだったため、「営業って必要?」というところからのスタートでした。売上や利益を意識している社員も少なく、新しいチャレンジにも投資しづらいような状態です。

――改革について順を追って教えていただけますか。

最初に行うべきだと思ったのは、社内の意識改革です。売上や利益を意識してもらわないと会社がつぶれてしまいますから、意識を変えることは必須でした。そして、短期間で黒字化することが意識改革に効くと考えていました。なぜなら、黒字化できれば社内のエンジニアも使ってみたいと思っているツールやサービスに投資しやすくなりますし、売上が上がることのメリットが伝わりやすいからです。

ただ、どこの馬の骨ともわからない営業マンがいきなり社内で派手に動けば、反感を買うと思ったため、エンジニアのメンバーと仲良くなれるかつ利益が上がるプロジェクトのアイディアをいくつか考えていきました。「Qiita Team」はSaaSの製品で、短期間で売上を伸ばすのは難しいですが、広告の商品開発は営業側でもできますし、Qiitaは国内最大級のエンジニア向け媒体ですから、十分に売れるだろと考え、まずは広告ビジネスにリソースを割きました。

当時、売上を約2倍にすると黒字化できる計算でした。最初に取り組んだのが、広告配信サーバーの統一です。詳しい人がいないネットメディアあるあるなのですが、Qiitaでは3種類の広告配信サーバーが混在していました。エンジニアと一緒に、有償のサーバーを止めることで経費を削減し、GoogleのAd Exchangeを使って広告の単価を上げる取り組みを行いました。エンジニアからは「こんな簡単に利益を伸ばせるんだ。すごいね」と言ってもらえるなど、営業としての信頼をある程度得られ、今後のチャレンジにおいても快く手伝ってもらえる土台をつくることができました。

次に行ったのが、直販営業体制の構築です。それまでは営業がいなかったため、とある代理店さんにすべて広告をお任せしていたうえに、代理店マージンは「50%」発生していたのです。契約体系や広告にもよりますが、正直相場よりかなり高い価格です。それでもインターネット広告の知識や営業経験がないメンバーは疑問を抱いていなかったのです。代理店とマージンの価格も交渉し、今後は直販営業も行っていきたいむねもきちんと伝えました。

 

直販体制を構築するにあたって苦労したのが、契約・請求周りや広告配信ルールや規定、そしてレポート業務など、さまざまな業務フローの構築です。今思うととんでもないのですが、アルバイトの子とふたりで毎日遅くまで働き、10日間くらいで直販営業ができるところまで準備を進めました。実は、そのアルバイトの子がエイチームに内定をもらっていて、次の4月に入社予定なんです。入社当時のもっとも大変だった時期に苦楽を共にした学生が新卒で入社してくれるというのはとても感慨深いです。

これらの取り組みによって、予想よりも早い、入社して3ヵ月のタイミングで売上が2倍になり、単月黒字化を実現しました。投資もできるようになり、採用を初め、現在の「事業開発グループ」を立ち上げる許可をもらった矢先、M&Aが実行されたのです。2017年のクリスマス直前の平日だったので、その日の夜はメンバー皆で深酒したのを覚えています(笑)。ただ、エイチームからは計画どおり採用を進めて良いと言ってもらえたため、引き続き組織づくりを進めていくことができました。

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エンジニア中心企業ならではの営業スタイルと情報共有術とは

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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