Slackは「オフィスにいるときよりオープンな状態」
最後に、Slack 事業統括 ビジネスグロース本部 第五営業部 部長の花房洵也氏が登壇。2020年にSlack社に入社した花房氏は、これまで約15年間営業職に従事してきた。セールスパーソンとしての経験を踏まえ「Slackの営業チームがどうSlackを活用しているのか」について、活用事例を紹介した。
Slack社は2020年3月にフルリモートになり、出社不可の状態が2021年10月まで続いた。2020年7月に入社した花房氏は「完全リモートワークで研修から実際の業務までやるのは不安があった」と振り返る。しかしその心配は杞憂に終わったという。というのも、Slackで全社員がつながっていることで、仮想上の同じ部屋で仕事をしている感覚を得られるというのだ。これは「オフィスにいるときよりオープンな状態」と感じたと花房氏。他の部署やリーダーまで見渡せる状態なので、安心感があったそうだ。
Slackの営業がSlackを活用する4つのシーン
また、花房氏のもうひとつの懸念が、「Slackの複雑な営業活動が自分にできるのか」ということだった。Slackの営業活動では、社内外の多様な人とのやりとりが発生する。社内ではインサイドセールスやソリューションエンジニアとの連携が不可欠だ。また顧客として対面するのは、情報システム部門や営業部門、社長などさまざま。そんな幅広いアプローチが必要な営業において、新人が情報を集めてスキルアップしていくことは、一見難易度が高い。そこでもまた「Slackが助けになった」と花房氏。
では、どのようにSlackが役立ったのだろうか。本題のSlack活用事例について、次の4つのシーンに分けて解説した。
- 部門を超えてコラボする
- お客様とつながる
- スピーディに業務を行う
- チームの力を高める
ひとつめは「部門を超えてコラボレーションする」。Slack社では顧客ごとにアカウントチャンネルを作成しており、営業担当だけではなくソリューションエンジニアやカスタマーサクセスといった社内の関係者が入っている。「そこでお客様に関する情報を集めて作戦会議を進めます。やりとりがSlackに集約されるため、担当変更があってもキャッチアップがスムーズ」と花房氏。オンライン会議も行うが、ある程度のディスカッションはSlackで済ませるようにしているという。
ふたつめの「お客様とつながる」シーンでは、顧客とのやりとりを専用のワークスペースに集約しているという。外部組織とやりとりする方法は、「Slack コネクト」と「ゲストアカウント」機能のふたつがあるが、花房氏は「Enterprise Gridのプランを使うと、無償プランで利用中のお客様ともSlackコネクトでつながれるため便利」だと説明。Slackコネクトではハドルミーティングも含めたクイックなやりとりが可能で、接触回数が増え、関係を築きやすいという。また、営業管理職がそのチャンネルに所属することで進捗も把握できる。
3つめは「スピーディに業務を行う」。先ほどの伊藤氏の説明にもあったとおり、Slackはさまざまなデジタルツールと連携可能だ。SFAツールなどをSlackにつなぎこむことで、商談後にわざわざ報告やデータ更新のためにパソコンを開かずとも、Slackのモバイルアプリ上で業務を完結できる。たとえば、Slack社ではオリジナルの「Midas」というアプリによって、Slackの利用状況などの顧客に関するデータが含まれた営業資料作成を1~2分でかんたんにできるようにしている。
そういったツール連携を差し置いても、「Slackにはあらゆる情報が蓄積されていくため、お客様からの質問への回答は、すでに揃っている可能性が高い」と花房氏は言う。Slackでの情報収集で完結することは、営業の業務の大幅な時間短縮になる。
4つめは「チームの力を高める」。チームの方向性や業務の優先順位などをリーダーが発信していく必要があるが、リモートでは課題になりがちなポイントだ。Slack社では、クリップ機能で動画を使ってリーダーが熱量を伝え、みんなで絵文字でリアクションすることで、従業員エンゲージメントの向上につなげているという。また、「気づきをSlack上で共有することで、学び合う文化が形成されるのを感じた」と花房氏。
最後に「Slackというツールが、多くのコミュニケーションと業務を抱える営業の助けになった。Slackがなかったらと思うとゾッとします」と実感を語った花房氏は次のようにセッションを締めくくった。
「Slackはミラクルツールではありませんが、いきなり使いこなさなくても十分メリットを感じてもらえるツールだと思います。焦らずに『これは便利だな』と思える範囲を増やしていくのが重要です。ぜひ皆さまの営業組織でもSlack活用にチャレンジしていただけると嬉しいです」(花房氏)