プッシュ通知の開封率は3~40%も! リンナイ、ヤマハ事例
実際に、BtoB用の自社アプリに着目する企業は急増しているという。具体的な自社アプリ活用事例としてセッションでは、リンナイとヤマハミュージックジャパンの2社が例として紹介された。なお、これらのアプリはクローズドで利用しているため、一般のアプリストアから入手できるものではない。
まず、リンナイでは、「営業本部/販売管理部/DX促進グループ」にてアプリを活用している。取引先はガス事業者や工務店、設計事務所で、従来は会員制のウェブサイトを運用していたものの、なかなか閲覧数が伸びずに運用が形骸化してしまっていたという。そこでウェブサイトの刷新とともに、LINE、自社アプリも加えた運用に切り替えた。
同社のアプリでは、カタログに記載する多くの情報をアプリにわかりやすくまとめたことで、必要な情報に辿り着きやすくした。顧客に対して電子カタログをリアルタイムで更新できることに加えて、動画コンテンツの活用を通じて、わかりやすい情報伝達も目指している。なお、アプリ導入後には、従来の半年分の動画再生回数を1日で超過し、プッシュ通知の開封率は30~40%に上るなどの成果が出始めている。
続いて、ヤマハミュージックジャパンでは、楽器・音響機器の販売をする部署で自社アプリを活用している。同社が顧客にコミュニケーションを取る方法はふたつあり、ひとつは直接顧客にメールやSNSでアプローチする手段。もうひとつは特約楽器店――すなわち楽器の販売パートナーに対して営業パーソンが足を運ぶという手段だった。
しかし、この構造の場合、顧客には最新情報が届いているのに、特約楽器店には最新の情報が届かないという状況が生まれてしまっていた。そこで、営業の負担を減らし、スピード感のある情報共有を行うための解決策として、自社アプリが採用された。アプリを採用した理由には、特約店スタッフが来店客に質問を受けた場合に、「PCのある場所まで行って調べるのではなく、その場でスマートフォンで調べながら答えたい」というニーズに応える側面もあったという。
さらに自社アプリの導入によって、動画視聴で研修を効率化し、理解度を深めることも容易になったという。ペーパーレス化にもつながり、コスト削減も実現している。そのほかには、プッシュ通知を活用して届けたい情報にワンタップでアクセスできる仕組みも、同社のアプリ運用で工夫されているポイントだという。
ノーコードでアプリ開発が可能な「Yappli」とは
ヤプリが提供するスマートフォンのアプリ開発をノーコードで行えるプラットフォーム「Yappli」を活用すれば、このようなBtoBアプリの開発も容易に行えるという。開発だけでなく、運用、データ分析までをカバーしている点も特徴だ。アプリリリース後は、1ヵ月間のレクチャー・サポートの体制も整えられている。また、セキュリティ面に関しては、各社が求めるセキュリティレベルに合わせて、MDMや各種認証に対応できるとのこと。
なお、関係者へのインストール促進については、さまざま方法があるなかで「QRコードを見せ、取引先の関係者のスマートフォンでダウンロードしていただく、という地道なコミュニケーションが功を奏しているようだ」と高橋氏は語った。
顧客との「単なるつながり」ではなく、継続的かつ共に事業を成長させていくためのつながりが求められる今、BtoBビジネスにおいても、スマートフォーンアプリが新たな選択肢になるだろう。