そもそもデジタルトランスフォーメーションとは何か
注目を集める「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。その実態は、働き方改革や古くはBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)などの過去に行われてきた改革と一体何が違うのか。さらには営業組織においてもCRMやSFA、タブレットなどのテクノロジーの導入や業績評価制度の制定など、これまで行われてきた変革の取り組みと何が異なるのか。
声高に叫ばれる「DX」という単語に対してそんな思いを募らせている読者も多いことだろう。本連載では5回にわたり、営業組織におけるDXとは一体何なのか。従来からの取り組みや、最新のテクノロジーを活用した取り組みを交えて触れていく。
本連載が、読者のみなさまが実践する営業組織のDXにおいて「明日から何をすれば良いのか」を考える一助となれば幸いである。
営業組織におけるDXを定義する
営業組織におけるDXとは何かを考える前に、まずは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の定義を確認してみたい。
デジタルトランスフォーメーションは、ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したことに由来する。彼は、デジタルトランスフォーメーションを定義するなかで、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と述べている。これを営業組織に当てはめてみると、「ITの浸透が営業組織の構成員の業務をあらゆる面でより良い方向に変化させていく」と解釈して良いのではないだろうか。
本連載では、主に「フィールドセールス」を中心として議論を進めていくが、本来の営業組織のDXには、フィールドセールスだけでなく、セールスマーケティング、インサイドセールス、さらには営業戦略の検討を行う企画部門やアシスタントとして現場を支えてくれる営業事務(セールスオペレーション)も含まれている。
このような人々が一様に、ITの活用(浸透)によって業務の生産性を上げ、勝率をいかに上げていくのかということを「営業組織におけるDX」と定義づけることにしたい。