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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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今の働き方が不安? 趣味や「好き」を仕事に取り入れる電通Bチームの新しい働き方とは

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ようこそ電通Bチームへ 世界でたった1つのチームの紹介

 あなたが入ろうとしている電通Bチームは前例のない変わったチームだから、すべて詳しく説明しておかなくてはいけない。だから、その誕生、はじまりから、話したいと思います。たぶん、そこも普通じゃない。けど、何かヒントがあると思うから。

電通Bチームのはじまり

 ご存じの通り、電通は広告会社(ま、現在いろんな変革が行われていますが、ここではわかりやすくそう言っておきます)。僕を含めた中心のメンバーの多くは、元々クリエーティブ局に在籍して、広告を作っていました。いわゆるCMやポスターやウェブやキャンペーンなど。

 そして、そこで培った広告のスキルを応用して、いろんな企業の新商品開発とか新しいサービスといった、いわゆる新規事業を生むお手伝いや、電通自体の新規事業を作るチャレンジをしていました。ちなみに僕は二〇〇〇年入社。9年間クリエーティブ局に在籍した後、その新規事業部隊で働いていました。

 二〇一四年頃。同じフロアに、電通総研というシンクタンクがありました。昔は国に政策提言するような組織だったそうなのですが、その頃は消費者研究や日本の広告費を調べたりするリサーチがメインのようでした。その組織がたまたま隣になったんですね。そこで、上司の一人のCさんが思いつきます。

「あのクリエーティブ新規事業部隊を、電通総研に入れてみたらどうか? そして、情報を編集してもらったら面白いのではないか」と。

 ある日僕はそのCさんに呼び出されます。「電通総研で、倉成さんが中心になって、キュレーションチームを作ってくれませんか」と。「なるほど。面白そうじゃないですか」とまずは答えつつ、即、これを「断り」ます。この瞬間がBチームの始まりです。えー、断ったら始まらないじゃん!? と思われるでしょう。まあ、聞いてください。

 キュレーションという流行語(当時)がイヤだったんですね。広告業界はホットワードを部署名にしたりするけど、部署作った頃には半歩遅れになってることとかがよくあったりして。そういうのがカッコ悪いなあと常々思っていたから。ただし、総研にクリエーティブが入るのは、世の中見渡しても聞いたことがないし、面白そう。そこでこんな会話をしました。

 今まで自分がやってきた仕事でも、同僚や他社がやった仕事でも、僕が広告会社で「良い仕事だなあ」と思うものには、いつも1つの共通点があります。それは人々の「新しい価値観へのシフトを手伝っている」ということ。それが広告であれ、事業であれです。でも広告業界の仕事は基本受注して発生するもの。それらの仕事は、誰かから依頼されてから考え始め、今の時代はこっちかな?とか話し合って、結果として新しい価値観へのシフトにつながっている。

 そうではなく、今回僕らが異動してチームを作るなら、一個人として気づく新しい価値観やコンセプトを「誰にも頼まれていないのに」察知したり、作ったりする、そんな部署ならやります、と答えました。ま、それも一種の情報のキュレーションではありますが、だいぶ意味が違いますよね。

 Cさんは「それでいいです」と答えましたが、僕は間髪入れず質問を続けました。「では、今回のゴールはなんですか?」と。その狙いは、目標だけ共有して方法は任せてもらうという条件を引き出すためです。新しいことは指示されたり、途中で口出しされたりしては絶対に作れない。それは、新規事業に携わってきて、体感していたことです。

 Cさんの答えは「2年以内に成果を出してください」。さらに質問の手を休めず確認作業を続けます。

僕「そこでいう成果とはなんですか?」
C「自分で決めてください」
僕「ということは、野球にたとえれば、2年後に9回裏が来るとして、何対何で勝つかは自分で決めていいんですね?」
C「はい」
僕「じゃあ、バットの振り方も自分で決めていいですか?」

 方法は問わないですよね? 途中で口出ししないでくださいね、という念押し。答えは「いいです」と。そうしてやっと、「ではやります」と受けました。わかりますか? なので、このやりとりがなければ、生まれていないんです。

 ただ、啖呵切ったのはいいものの、「新しいシンクタンクチームを組織して、2年で成果を出す」のは相当ハードルが高いことです。人集めに半年、リサーチに1年、コンセプト作って発信するのに半年。それで成果が出るかは、五分五分の博打だな。なのでこの方法はなし。

 じゃあどうするか。他の方法はないか。「一番長くかかるのはリサーチ。この時間を限りなくゼロにできないかな」、そう思った瞬間、ある方法が頭に降ってきました。

「個人活動やってるメンバー集めればいいかも」

 広告業界は、社業以外に、私的活動(法律的には副業と呼ばないそうなのでここではこの呼び名で)をしている人が多数いる歴史があります。たとえば、電通では古くは写真家のアラーキーさん(正式にカメラマンとしての社員でしたが)やイラストレーターの安西水丸さん、芥川賞作家の新井満さんに直木賞作家の藤原伊織さん、テクノミュージシャンのケンイシイさんや料理研究家の行正りかさんなどなど。

 現代もその私的活動カルチャーを引き継ぐ末裔たちが社内にたくさんいます。実は僕もその一人で、二〇〇五年から社公認で同期とプロダクトを作って、デザインイベントで展示したり、インテリアショップやミュージアムショップなどで売ったりしていました。それが高じて、社からの海外派遣で海外のプロダクトデザイナーのスタジオに勤務したこともあり。なので、一応もぐりのプロダクトデザイナーです。

 その他にも、趣味が行き過ぎてる人もいれば、違う業界から転職してきたり、大学時代の専門が特殊だったりという特別な個人的バックグラウンドを持つ人もいる。この社員たちが持っている情報をネットワーク化すれば、リサーチゼロで機能するシンクタンクを始められるかも、と。

 実験として、まず8人の社員に声をかけました。その本業以外の活動や特徴を以下列挙すると、DJ、小説家、スキーヤー、元銀行員、元編集者、平和活動家、社会学に詳しい先輩、世界6カ国で教育を受けたロシア人コピーライター。

 集合場所は、「はじめに」に書いた電通本社ビル37階の窓際、紫色のソファー席。そして、やってみました。リサーチ時間ゼロの情報共有会。事前の準備なしで自分が好きでやっているジャンルについて頭の中にある情報の共有をやるとどうなるか。

 ルールとしてまずは試しにA4の紙1枚に140文字で書いて共有してみることに。お互いにいくつかシェアしてみる。すると……。面白い。話が止まらない。1時間があっという間に過ぎた。

 それぞれの口から飛び出してくるのは、ほんとに知らない事ばかりで、普通にニュースやSNSを見ていてもたどり着けない情報ばかり。どんな検索ワードを何語でいくつ入れたら出てくるのかわからない。そもそもウェブ上にないものもある。ほとんどが1次情報。直接見聞きした生で濃い情報だから、聞く人の頭が一気にインスパイアされてしまう。みんなが一を知ると誰かが何かを十思いついてしまう、そんな時間だった。このやり方イケるね、というか、面白すぎる。

 こうやって二〇一四年七月、電通Bチームの元となる、個人的バックグラウンドを持った社員が集まった特殊チームが誕生したのでした。

9→25→40→56 メンバーを増やす

 ソファーに集まったメンバーについて、少し触れておきたいと思います。深く疑似体験するためには、仲間のことを知っておくのは大事だと思いますから。

 まず、1人目は木村年秀さん。昼間の顔は様々な広告を手がける電通第2クリエーティブディレクション局のクリエーティブ・ディレクター、夜の顔はクラブカルチャー好きは知らない人はいない著名DJ MOODMAN。もう30年以上DJとして活躍し、年間100以上のイベントに出演、10万枚のレコードを所蔵、自身のレーベルもあり、毎年さまざまな音楽フェスにも出演しています。

 実は、僕は入社2年目のときにコピーライターとして木村さんに付いていました。音楽についての知見が半端なくて、西海岸はもちろん旅先のオスロから電話しても「ああ、3年前だったらあそこのクラブに行くと良かったんだけどね」と即答。なので、頭の中にある情報だけでリサーチチームが組めるはずというのは木村さんのこのときの印象が元になっています。

 次は、鳥巣智行くん。長崎市生まれの生まれつきの平和活動家。高校時代から「高校生1万人署名活動」を行い、Google Maps上に被爆前後の長崎の町の写真と証言をプロットする「Nagasaki Archive」プロジェクトをリード。

 被爆65年目の二〇一〇年八月九日テレビをつけると「NEWS23」の長崎の教会からの中継で、ロウソクがたくさん灯る中、入社2年目の鳥巣くんがレポーターに「鳥巣さん、平和ってなんですか?」と聞かれ、大学教授と一緒にコメントしていた。彼が尊敬するのはジョン・レノンで、恐山のいたこさんにジョンを降ろしてもらって、自分のバンドの新曲を書いてもらおうとしたこともある(家族も来てくれないのに来てくれて嬉しいが、あなたたちに言うことは何もない、と言われたとか)。

 元編集者は、牛久保暖くん。元々大親友で、僕が電通に引っ張った。慶應SFC在学中に、ゼミの研究で「monsoon」という雑誌を作り、なんと1万部売っていた有名人。マガジンハウスの雑誌「Relax」の名物編集長岡本仁さんに目をつけられ、学生時代から編集者兼ライターをしていた。新卒でソニーに入り→コンサルのATカーニー→目黒のデザインホテルClaskaと引く手数多な転職を経てフリーになったときに、「クリエーティブとデジタルとビジネスが一人でわかる親友がフリーになりました」と会社に掛け合い、入社してもらった。頭の中でWi-Fiを受信して検索してんじゃないかってくらい、他ジャンルについていつも詳しい。

 社会学に詳しい先輩というのは田中宏和さん。ご存じかもしれませんが、全国の自分と同じ氏名の「田中宏和さん」を100人以上束ねてギネスを狙う「田中宏和運動」の発起人。常々社会学および社会に関する本を読みまくられている博識。自他共に認める雑学王。同姓同名コミュニティもある意味「社会」とも言えるし、ということで社会学担当に。

 世界6カ国で教育を受けたロシア人コピーライターは、キリーロバ・ナージャ。二〇〇九年、彼女が2年目のときから僕の下に来て、一緒に働き続けていますが、その間に、セナの走りを鈴鹿サーキットで光と音で再現する、ホンダの「Sound of Honda」でカンヌ国際広告祭グランプリをはじめ世界中で賞を総ナメ。二〇一五年の世界のコピーライターランキング1位になり、世界中の広告賞の審査員として大活躍しています。

 実は彼女、ご両親の転勤によりロシアと日本を含めた世界6カ国で育ったため、世界中の教育を体験ベースで比較できてしまう人物。Bチーム創設後、世界の教育担当として書いた教育比較コラムはネット上でバズり(「電通報 ナージャ」で検索してみてください)、柴山元文科大臣も引用するほどに。ちなみにお父さんは数学者、お母さんは物理学者。スキーヤー、小説家、元銀行員については巻末の「B面の履歴書」を見ていただくとして、ま、こんなメンバーで集まったあと、メンバーを増やし始めました。

 まず目指したのは25人。なぜ25かっていうと、完全に直感で理由はありません。なんとなく目指しやすかったから。その後次のステップでは40人に。これは学校の1クラスでマネージできる1つの単位と呼ばれているから。で、もう少しいけそうだなと、今は56人になりました。

 増やすときのルールは、同じジャンルで固まると情報収集のチャンネルが増えないので基本「1ジャンル1人」で、持ってる情報が良質で、一緒に雑談して楽しい人に入ってもらう。かつ、チームのために働ける協調性がある人に。仕事が来たら一緒に働く必要があるので、実力を持っているかどうかも指標の1つです。

 途中から、いろんな企業のブレインストーミングを頼まれることが増えてきたので、そのときにいてもらうと助かるジャンルの人も探しました。「AI」「農業」「健康」「未来予測」の担当は、そのタイプです。

 あと実は、人事から頼まれたというパターンもあります。他社に引っ張られてるからなんとか説得して欲しい!とか。これもBチームの大事な仕事です。その人がハッピーに働くキッカケになれるなら、そして優秀な人材を会社に引き留められるなら。その若き人材と会ってお茶をしながら話して、結果入ってもらった人も何人かいます。

 メンバーが1人増えるにあたっては、毎回それぞれドラマがある。けれど、一旦ここでは、こんな感じで徐々にメンバーが増えたってことだけ、雰囲気をわかってもらえたらと思います。

面白いチーム誕生、名前はまだない

 名前についても気になるでしょうから、チーム名についても話しておかなくてはいけませんね。こうやってメンバーを増やし始めて1カ月後くらいだったかな。その頃の僕は、悩んだらいつも元編集者牛久保暖くんに相談していたから、いつものごとく彼と雑談をしました。「暖くん、名前どうしたらいいと思う?」と。

 うーん、とうなって、彼が言うことには。

「Bチームくらいが良くない?」と。
「電通総研って、僕らの前の世代には結構ブランドイメージがあるみたいだから、そういう重厚な組織には、軽くBチームって付けるくらいのノリが、ギャップがあっていいんじゃない?」
「あと、Bチームだと、新しいことのみに特化しますってメッセージにもなるし。Aチームは、稼ぎだとかセンター争うとかで、新しいことやりにくいから」

 なるほど、と思い即採用。この日から僕らはチームのことを「電通総研Bチーム」と呼び始めました。これが社内でも誰の異議も出ず、すんなりと、なんとなく定着。その後の組織改編に伴い、二〇一八年一月から電通Bチームに改名し、今に至ります。

 しかし、このときの牛久保くんの「Bチームくらいが良くない?」がなかったら、未来は全然違ったでしょう。キャッチーで怪しく、そそる形にしてくれたのはもちろん、後付けにもかかわらず、僕らがやろうとしていた2つのことを「B」の一文字でうまく集約、統合してくれたからです。 「本業=A面に対する、社員の個人的な側面の『B』」と「プランBやアプローチBといった、Aが機能しづらくなっているときの次、オルタナティブを意味する『B』」とを。

 その少し後で知ったことですが、ビートルズは、いつもA面でヒットを狙い、B面には実験曲を入れていたそうです。たとえば「Hello, Goodbye」のシングル。B面は「I Am the Walrus」、直訳すると「私はセイウチ」。改めて聴き直すと曲調も変ですよね(ビートルズ愛好家によるとこの盤面の話には諸説あるそうですが)。

 一見変わったチームを作ったように見えつつ、実は、常に新しいことはBから始まる、という世の定石に則っていたわけです。新しいことを、小さく、裏やBから。もちろんうまくいったら、徐々に大きくし、新しい本流=Aにしていく。Bチームという命名により、使命がより明確になりました。

Bチームが大切にしている3つのこと

 Bチームの成り立ちを伝えたところで次に、僕らが大切にしていることを少々。『星の王子さま』に出てくるキツネは言いましたね。「いちばんたいせつなことは、目に見えない」と。その見えない精神的、哲学的部分。そこが、決定的に他の会社やチームと違うから。

 まず、一番大事にしているもの。それはメンバーの「好奇心」。だから、始めたときからずっと言っているチームのスローガンは、「Curiosity First」。好奇心第一。工事現場の「安全第一」の垂れ幕のように、オフィスには「好奇心第一」と貼りたい。貼ってないけど。でも、みんなの心の壁には常に貼ってある言葉。

 好奇心は人間のあらゆる活動における一番のエンジンだと思います。好奇心は自主的なもの。誰かに教えられるものじゃない。やりたくてやる。好きだからやる。好きでやっているから傾けるモチベーションが全く違う。当たり前のことだけど、一番大事なことです。そうすると、集まってくる情報の質が違います。各メンバーには自分が好きだから続けているジャンルがあり、誰も行き着いてないところに行き着いている。そんな人たちが自分の好奇心のアンテナで入手してきた情報を「これ面白くない?」「これ知っといたほうがいいよ」と教えてくれるわけですから。

 情報を集めるのはもちろん新しい何かを生むためです。アイデアは情報と情報のかけ算でできると言われます。また、イノベーションも異なる情報の新結合でできると経済学者のシュンペーターは言っています。

 だから、良い情報、特に異業種の情報を集めることが大事なわけですが、ここ10年くらい、いろんな組織の方とお仕事して気づくことは、ネットリサーチに頼りすぎている。つまり、誰もが知っている情報しか持っていない。そんな中で他が持っていない情報を持っている。これはすごい武器になります(どんな情報を集めているか、については3章にて)。

 そして、好奇心満載の人と一緒にいると周りの人も楽しい。ゆえに人脈も違う。それぞれの背後にはそのジャンルの有識者たちが、心許せる友達として、いる。異業種交流会で名刺交換しまくる、お仕事で人脈を作っている人たちとはわけが違います。

 だから、みんなが好奇心を発揮すればするほど、好きなことを突き詰めれば突き詰めるほど、成果が上がる。ま、そんなの言わなくても、みんな好奇心を持ち続けるはずだけど、仕事をしてると順風ばっかりじゃないから、念のためスローガンにしています。

 この言葉は、チーム外でも効きますね。お仕事を依頼されたり、講演したりするときに説明すると、いいな!って。うちもそうしたい!って。みんなワクワクして目を輝かせてくれます。まだ一緒に何かする前から、スローガンで誰かをインスパイア、エンパワーできる、共感してもらえる。ってのはいいことだなと思います。

 2つ目は、「パーソナルなこと」を大切にしていること。一個人として、今自分が本当に思うことや感じることを、みんなで大事にしています。個人的な感覚、経験、直感、思いを使って、情報を集める。実際の仕事やプロジェクトも、自分がいいと思うから、自分がワクワクするから、やる。

 先が見えないと言われる現代。そんな時代だからこそ、この世界の最小単位である個人に立ち戻りたい。自分は今何を思い、感じ、生きているか。誰かの受け売りではない、紛れもない一個人のリアルに。有識者が言っているからとか、シリコンバレーで流行っているらしいからとか、他人の価値観を鵜呑みにしていると確実に間違える。他人の人生を生きるのをやめる。他人のセンスに頼り切るのをやめる。今の日本に大切なのはそういうことだと思います。

 舶来物の概念の輸入ばかりで、オリジナルな物がどんどんなくなっている日本から、新しいユニークな物が生まれるでしょうか? 他人の褌で相撲を取り続ける国家に、日本はなってほしくないと思います。さらには、この時代に生きる人は全員この時代についての有識者だって思っています。だって、みんなこの世界で生活しているわけですから。体感しているわけですから。感じていることは間違っていない。堂々ともっと言っていい。

 個人的なことから、現在と未来を良い方に変えていく新しい何かを生みたい。勇気を持って、自分が、自分たちが正しいと思うことをするのだ。そういう思いを中心に置いています。

 最後に、Bチームのvisionは「自分たちのデザイン」。少し詳しく言うと「自分たちが生きるこの社会をよりよくデザインする」ことです。

 この世界は、自分たちが生きている自分たちの世界のはずなのに、なぜこうも違和感がたくさんあるんだろう? そう思いませんか? 自分たちが生きているうちに、たくさんの共感する人々と協働して、自分たちの環境や時代を、よりフィットする良い形へデザインしていく。変えていく。そのために、働いているわけです。

 例えば、Bチームはたくさんのコンセプトを発表していますが、世の中のためになる概念以外は提唱しません。つまり、一個人として、一日本人として、一地球人として、今後こうなったらいいなとか、こういう萌芽はいいなと信じ、共鳴する概念しか提唱しない。広告系だと、マーケティングのために「○○世代」「○○消費」など、ターゲットを括って提唱するようなことが過去にたくさんありましたが、そういうのは絶対にNO。なぜなら、一個人として、好きじゃないから。人類70億人、それぞれが全員違う個性を持って生きている。なのに、自分の商売のために人々をカテゴリーで括ってその考えの第一人者になろうなんて、失礼です。

 プロジェクトも、自主的に開発するものはもちろんのこと、依頼される案件も、世の中が良くなることにつながると自分たちが共感できるプロジェクト以外はお手伝いしないことにしています。

 はじめに書きましたが、そもそも、「新しい価値観へのシフトを手伝う」ことが一番の仕事だと思っていますから、これは社会のいい変革につながるぞ、より違和感がない新しい価値観や生き方のシフトへつながるぞ、という仕事については全力投球。Bチームはもちろん、電通社員、および社外の信頼する仲間たちの才能をフルに出し合って、最高の仕事になるようにチャレンジします。

 みんなと常々話し合っているいろいろな思いはまだたくさんあるけれど、一旦これくらい理解しておいてもらって次に進みましょう。好奇心第一で、パーソナルなことを大切にして、自分たちが生きているこの世界を良い方向にデザインしていく。そのために、みんなの才能やスキルを出し合っていく。そういうチームだと理解してもらえたでしょうか?

 誰かが、与えられた才能を100%発揮すれば、世界は変わる。だからみんなに活躍してほしい。そう願って日々運営しています。ま、コーヒー飲んだり、おかし食べたり、くだらないダジャレで盛り上がったりしながらですが。

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あなたのB面を本業に生かすヒント

著者:電通Bチーム
発売日:2020年6月8日(月)
価格:1,600円+税

本書について

本書では、本業(A面)以外に情熱を傾けていることを「B面」と呼びます。B面をA面に混ぜると仕事がより一層面白くなる、という働き方を実践している電通Bチーム56名のメンバ―の知見を元に、B面の見つけ方、育て方、活かし方、組織への展開方法を紹介しています。

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